エンザイム(酵素)Lab.

ホリスティック栄養学&ホリスティックケアを中心とした健康コラム By Yukiyo
βアミノロイドに直接作用
 脳に電流を流す電気刺激療法は、重度のうつ病患者などの治療として有効とされていますが、数日前、『電気療法でアルツハイマー病を引き起こすたんぱく質の働きを抑制できることを、金沢医科大学の加藤伸郎教授らの研究チームがマウスの実験で突き止め、3日付の米科学誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンスに発表した』という記事を読みました。

以前も書きましたが、アルツハイマーの発病プロセスは
脳に神経細胞の機能を低下させるβアミロイドという蛋白質がたまる(濃度が脳内で高まる)→老人班ができる→脳の神経細胞の中にあるタウ蛋白質にリン酸が過剰にくっつく→神経細胞が死ぬ→発病
です。

加藤教授らは、マウスの脳内の情報伝達を担う電気信号を観察し、Aβを過剰に作り出すアルツハイマー病のマウスでは、正常なマウスに比べ、信号の継続時間が約1.5倍の長さになっていることを発見したのだそうです。

信号を送る時間が長いと、脳内に送られるカルシウム量が過剰になって神経細胞に悪影響を与え、それがアルツハイマー病の一因になるとされるが、βアミノロイドの増加で信号の継続時間が長くなっているマウスの脳に、電気けいれん療法と同様の電流を流すと、信号の時間が正常な長さに戻ったとのこと。

現在の治療薬は病気の進行を遅らせることが主ですが、アルツハイマー病の主な原因物質βアミノロイドの作用を直接抑えるというこの発見に期待したいですね
| Yukiyo | 症状別:認知症・もの忘れ | 21:20 | comments(0) | -
アルツハイマー病患者からのお願い

以前に読んだある冊子に、『アルツハイマー病患者からのお願い』というのが載っていました。新聞や週刊誌などでも紹介されたことがあるので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
身近に患者のいる方にはもちろん、そうでない方にも、ぜひ読んでいただきたいと思いましたので、紹介させていただきます。

1.どうぞ、私のことを我慢して
   私が器質的な病気のために自立できない、無力な犠牲者だと思い出して下さい。
2.どうぞ、私に親切にして
   毎日毎日が長くて、混乱している。親切にしてもらうことが1日のうちで、とても特別な出来事です。
3.どうぞ、私に話しかけて
   答えられなくても、私にはあなたの声は聞こえる。時に、言うこともわかります。
4.私の気持ちを考えて
   感情って、私の中ではまだ、生きている。
5.人間的尊厳があり、尊敬される人として扱って
   私があなたの立場だったら、喜んでお世話をします。
6.
私の過去を思い出して
   昔は健康で、生き生きとした人間だったって。愛し、笑い、能力も知性もあったって。
7.
私の現在を思って
   私は怖がっている人間。私は愛すべき夫〔妻、父、母、祖父、祖母、おば、おじ〕。でも、家族も家庭もなくなってしまった。
8.私の将来を考えて
   どう思われようと、いつも明日に望みをかけています。
9.私のために祈って
 時間と永遠の間の霧の中でさまよっている人間です。あなたは私にとってかけがえのない存在。
10.私を愛して
  あなたがくれる愛は私たちの生命を永久に照らしてくれる贈り物です。


これはアルツハイマーの学会で、患者自身が発表したものだそうです。
日本のアルツハイマー型認知症の患者は推定100万人と言われています。以前も書きましたが、65才以上の10人に1人は発症すると言われていますが、最近は18歳〜64歳の若年性アルツハイマーが増えていると言われていています。
いつか、人ごとではなくなるかもしれません。

この『お願い』を心に留めておいていただき、患者と接する機会がある方は、ぜひ、思い出して下さい。

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| Yukiyo | 症状別:認知症・もの忘れ | 18:26 | comments(7) | -
アルツハイマーにならない生活

アルツハイマーの発病プロセスの初期段階でβアミロイドというタンパク質がたまると説明しましたが、40代で20人に1人、50代で20人に3人、70代で半分程度の人にたまり始めるというように個人差があります。
また、βアミロイドがたまっても、発病するまでの期間を遅らせることができることもわかっています。

発病を遅らせる(予防する)には・・・
◆ 有酸素運動をするようにする
◆ 右脳を刺激する(音楽・ゲームなど)
◆ 会話をする (脳が活性化し、発病を抑える効果あり)
◆ 生活習慣病にならない食生活 (高血圧や高コレステロールに注意)

ラジオ体操などの定期的肉体運動や、日記を書くこと、高齢者の恋愛なども有効だと言われています。

野菜or果物ジュースを週3回以上飲む人は、飲まない人と比べて、アルツハイマー発生リスクが76%も減少という調査結果や、アルツハイマー病患者は青魚に多い不飽和脂肪酸であるDHAEPAの摂取割合が低いという傾向があるという調査結果があるそうです。
青魚と緑黄色野菜を摂ることが痴呆の予防に効果があると考えられますね。   

アルツハイマー病は老人斑が出来るとそれを処理しようと免疫細胞が働き始めるのですが、老人斑だけでなく正常な神経細胞も攻撃することで、脳の神経細胞が炎症を起こします。それをDHAが修復するのだそうです。


(写真:Sponichi Annex HPより)
100歳を過ぎても元気だった双子のきんさん・ぎんさんは、脳に老人斑ができていたのに、アルツハイマー型痴呆を発症していませんでした。
それは、きんさん、ぎんさんの食事には、毎日鯛の刺身があり、お魚が好物だったから…と言われていますね。

 DHAで脳を活性
 アルツハイマー、ワクチンで改善?
 アルツハイマーに関わる酵素
 アルツハイマーと遺伝子
 脳年齢チェックと脳トレ


今日は花粉がたくさん飛散していそうですね。魚のEPAは花粉症予防にも役立ちます
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| Yukiyo | 症状別:認知症・もの忘れ | 13:26 | comments(7) | -
アルツハイマーと遺伝子

『アポ4Eという遺伝子を持っているかはわかるのでしょうか?』という質問がありました。
アポ4Eの遺伝子を持っているかは、血液検査でわかります。

・・・ということで、今日はアルツハイマーと遺伝子についてお話しましょう。

アルツハイマー病は、優性遺伝する家族性アルツハイマー病(FAD)とそうでない孤発性アルツハイマー病に分けられます。
家族性の多くは30代〜60代前半に発症する若年性アルツハイマー病であることが多く、アルツハイマー病患者の0.1%以下と言われています。
(早発型家族性アルツハイマー病の家系で、第14番染色体にあるプレセニリン1の変異が発見されたという記事を以前読んだことがあります)

すべての人の血液中に溶けているアポリポ蛋白を作る遺伝子は、パターン別にε2ε2・ε2ε3・ε3ε3・ε2ε4・ε3ε4・ε4ε4
の6通りに分けられます。(εは、イプシロン)
この遺伝子パターンの中で、アルツハイマー病を発症させるのは、ε4です。
ε4を持っている人からアルツハイマー病が発症し、特にε4ε4型の人は効率に発症するのだそうです。

平均発症年齢は、ε4を持たない場合は84.3歳、ε4を1つ持つ場合は75.5歳、ε4を2つ持つ場合は68.4歳と発症年齢も若年化していくことが知られています。

万が一、アポE4陽性の場合でも、過半数以上の71%はアルツハイマー病を発症しないと言われています。
ですので、検査結果で不安になったりするよりも、脳活性化訓練に努め、脳の神経細胞の自然減少をなるべく少なくしていこうという努力をすることが大切だと思います。
とはいえ、E4陽性者は、アルツハイマー病発症の危険性が、多少高いことも事実ですので、年に1度位は長谷川式スケールなどの認知症テストをして、知的機能の低下の早期発見に努めることが大切ですね。

 脳のダメージによる行動の変化
 アルツハイマーに関わる酵素


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| Yukiyo | 症状別:認知症・もの忘れ | 21:14 | comments(1) | -
脳のダメージによる行動の変化

前回お話しましたように、アルツハイマー病にかかると、蓄積したβタンパクによって脳がダメージを受けます。

まず影響を受けるのは、記憶を司る海馬(かいば)の周辺です。そのため、アルツハイマー病の最初の症状として、まず記憶障害が起きることが多いのです。

その後、影響は脳の後側に広がっていき、「見たものが何であるか」を分析するなどの働きが衰えてきます

「行動の決定」や「会話」などをつかさどる脳の前の部分は、病気がある程度進行するまでβタンパクの影響を受けにくいので、会話では異常を感じないにもかかわらず、「普段なら見間違えるはずのないものを見間違えてしまう」などということが起きるのです。

◆ アルツハイマーの進行
アルツハイマーの進行は大きく次の3段階に分かれます。

[ 第1期 ]
最初は、記銘力の低下から始まります。老化による物忘れとは違い、数時間前などの新しい記憶や道を忘れてしまいます。
学習障害・失見当識・感情の動揺が認められますが、人格は保たれます。

[ 第2期 ]
記憶、記銘力が顕著に障害されます。それに加えて、高次機能障害が目立つようになります。
家に帰れなくなったり、自分が今どこにいるのかわからなくなったりするため、ひとりでの外出が困難になります。
日常で当たり前にできていたこと(電話など)ができなくなります。
また、周囲に関心がなくなり、清潔感が低下します。

[ 第3期 ]
前頭葉症状、小刻み歩行や前傾姿勢などの運動障害もみられるようになります。
話すことが減り、失禁、徘徊の症状がみられ、寝たきりになります。最終的には失外套症候群に至ることになります。
※失外套症候群:大脳皮質の大規模な機能障害によって大脳皮質機能が永遠に失われてしまった状態


『アポ4Eという遺伝子を持っているかはわかるのでしょうか?』という質問がありましたので、次回は、アルツハイマーと遺伝子についてお話しますね。

 アルツハイマーに関わる酵素


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| Yukiyo | 症状別:認知症・もの忘れ | 10:24 | comments(2) | -


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