エンザイム(酵素)Lab.

ホリスティック栄養学&ホリスティックケアを中心とした健康コラム By Yukiyo
微生物と発酵
酵素を作り出す微生物として、『酵母』と『カビ』について書きましたが、今回は『細菌』についてです。
細菌については、これまでも何度も触れてきてますので、簡単に・・・

【 酵素を作り出す微生物-3:細菌 】
◆ 俗名:細菌
◆ 属名:Acetobacter・Bacillus・Lactobacillus・Pediococcus など
単細胞で、酵母のほぼ10分の1の大きさです。
球菌・桿菌(茎状)・ラセン状菌などの形態があり、細胞分裂を繰り返して、猛烈な勢いで増殖します。

真正細菌とはいわゆる細菌・バクテリアのことで、地球上のあらゆる環境に存在しており、その代謝系は非常に多様です。
食品関係においては発酵乳・納豆・食酢・チーズといった発酵過程において微生物学発展以前から用いられてきています。

代表は乳酸菌。
乳酸菌は、乳糖やブドウ糖を利用して増殖し、その過程で乳酸を作ることによってエネルギーを作る細菌の総称で多くの種類があり、ヨーグルトやチーズの製造、糠漬けの発酵、味醂や醤油の発酵にも活躍しています。

Lactobacillus 乳酸菌は、乳酸桿菌・乳酸球菌・ビフィズス菌の
 3タイプに大別されます。
 写真は、乳酸桿菌(Lactobacillu
 酸素の有無にかかわらず生きていかれます。
 L.ブルガリカス・L.ヘルベティカス・L.カゼイなど


Acetobacter aceti
酢酸菌と呼ばれるもので、無胞子です。エタノールから酢酸を作るので、酢の製造に利用されます。

Pediococcus halophilus
耐塩性の乳酸菌で4連球菌です。醤油や味噌に利用されます。

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微生物の代謝や作り出す酵素によって、食品は成分・味・香り・色などを変化させます。
ぶどうををワインに、大豆を味噌や醤油に、ミルクをチーズやヨーグルトに、生鮮野菜を漬物に……

私達は、微生物の生命活動で生じる副産物を、発酵物としていただいているのですね。感謝ですポッ


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毎日温度差が激しいので、風邪をひかないように気をつけてくださいね!
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| Yukiyo | 細菌・微生物 | 22:08 | comments(2) | -
害になるカビ (×_×;
カビには役に立つカビと害になるカビがあります。
12月に「役に立つカビ」の話で、麹カビと食文化について書き、次回、害になるカビについて書きます…と書いたままになってしまていましたが…
「害になるカビ」についても書いて欲しいとリクエストがありましたので、今回は、害になるカビについて少し書きますね。

カビは学問的には「真菌類」と呼ばれています。

【 食品に見られるカビ 】
食品には様々なカビが発生し、一部のカビは、カビ毒を作ります。

真菌中毒症を起こす代表的なカビ毒です…

アフラトキシン◆ アフラトキシン ◆
アスペルギルスの仲間の一部が作るカビ毒で
す。主に肝細胞癌を引き起こす原因物質とし
て知られています。
輸入されたピーナッツ・ピスタチオナッツなど

◆ トリコテセン系マイコトキシン ◆
(デオキシニバレノール・ニバレノールなど)
フザリウムの仲間の一部が作るカビ毒で、悪心・嘔吐・下痢・腹痛・造血機能障害などを引き起こします。
麦・トウモロコシなど

◆ オクラトキシンA ◆
アスペルギルスやペニシリウムの仲間の一部が作るカビ毒で、腎臓や肝臓に毒性があります。
穀類・豆類など

カビ毒は加熱調理で分解されませんので、カビが生えたものは食べないことが安全ですノーノー


【 室内環境で見られるカビ 】
カビが発育する4つの条件は、栄養・水分・酸素・温度です。
室内のカビは、食品以外に、カーペット・畳・壁・タイル・コンクリートなどに付着したホコリ・手アカ・フケ・ダニの死骸などの有機物を栄養源にしています。
カビは65%以上の湿度を好み、5℃〜35℃特に20℃を越えると活発に発育します。湿度や温度の上昇する梅雨時はカビの好む条件が整っているので、梅雨の時期は特に気をつけましょう。
カビの胞子や代謝産物がアレルギーを起こすアレルゲンになることがわかっています。真菌アレルギー症として、気管支ぜんそく・じんましん・鼻炎・結膜炎・皮膚炎などがあります。
洗濯機内(特に全自動式洗濯機)では洗濯水中にたくさんのカビ胞子が見つかり、年々増え続けるアレルギー性皮膚炎の原因の1つとして洗濯機内で増殖するカビが疑われています。洗濯槽クリーナーなどで、洗濯機の手入れをしましょうニコニコ


【 カビや酵母による感染症(病気) 】
カビや酵母の感染によって起こる病気を真菌症と言います。
細菌による感染症には抗生物質が有効ですが、真菌症には抗生物質は無効であり、かえって症状を悪化させます。
真菌症のほとんどは「不完全菌類」に属すカビ・酵母によるものです。

◆ 病変が皮膚や粘膜に限られる浅在性のもの ◆
白癬菌によるシラクモ・水虫・タムシ・カンジダ(酵母状真菌)による皮膚や粘膜のカンジダ症など

◆ 呼吸器や消化管・脳などに病変を作る深在性のもの ◆
アスペルギルスによる気管支肺炎や肺膿症・
クリプトコッカス(酵母状真菌)による肺や中枢神経への感染など


小学生の時、「パンのカビ」をテーマに自由研究をし、数種類のパンの色々な条件下でのカビの生え方や種類と経過などをまとめました。個体差はありましたが、手作りしたパンも、市販のパンもすべてカビたのを覚えています。数年前、「○○○○パンはなぜカビないか」という本が話題になりましたね。
当時も同様のカビないパンがあれば、違った研究ができたのかもしれませんね。(添加物の研究になっちゃうかな?)

ちなみに別の年の自由研究は「牛乳の腐り方」でした…

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| Yukiyo | 細菌・微生物 | 21:41 | comments(3) | -
麹カビと食文化
酵母に続いては、『カビ』です。
カビは、食品の変質・真菌中毒症・アレルギー症・感染症などを引き起こすなど多大な悪影響を及ぼしますが、一方では、醤油や味噌といった日本の食生活に欠かせない調味料や、抗生物質のペニシリンなど、カビからたくさんの恩恵を受けています。
カビにはたくさん種類があり、役に立つカビと害になるカビがあるのです。

まずは、役に立つカビから…

【 酵素を作り出す微生物-2:カビ 】
◆ 俗名:カビ
◆ 属名:Aspergillus・Mucor・Penicilliun・Rhizopus など
胞子が発芽して菌糸を出し、菌糸が枝分かれした先端に胞子を作り、胞子が飛んで、また発芽してということを繰り返して増殖します。胞子の大きさは約4〜8ミクロン(1000分の1ミリ)で、肉眼で見ることができるものはカビの集合体です。

代表は麹カビ。酵素の宝庫といわれ、さまざまな酵素を作り出します。原料中のデンプンをブドウ糖にするアミラーゼ、タンパク質を分解してアミノ酸にするプロテアーゼの力が強い。

Aspergillus oryzae Aspergillus oryzae

 コウジカビの代表種で黄麹菌とも呼ばれる。
 和名はニホンコウジカビです。
 デンプン分解、タンパク質分解力が強い。
 清酒・味噌・醤油・みりんなど多くの食品
 で利用されている。
 日本の食文化に欠かせないカビです。


Penicillium roqueforti
Penicillium roqueforti
青かび。最も普遍的に見られる不完全菌の1つ。常に空中に胞子が飛散し、パン
や餅などには、真っ先に生える。
世界で初めての抗生物質であるペニシリンが、この種のカビから発見されたことは有名。ゴルゴンゾーラ、ロックフォールチーズなどの製造に利用される。

オリゼー
もやしもんの A.オリゼーは、コウジカビの代表種「黄麹菌」ですラブラブ


2004年に一島英治(東北大学名誉教授)が「麹菌は国菌である」と提唱し、2006年10月12日、日本醸造学会大会で麹菌(Aspergillus oryzae)が国菌に認定されたのだそうです。

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| Yukiyo | 細菌・微生物 | 12:47 | comments(4) | -
酵素を作り出す酵母
微生物、または微生物の酵素が、人間にとって有益な物質を造り出することを発酵と言い、役に立たない場合は腐敗と言いますが、発酵や腐敗によって食品が変化するのは、酵素が触媒として作用することによって起きています。酵素は他の物質に作用して分解したり合成したりする不思議な力を持っています。この酵素を作り出すのが微生物です。
発酵に係わっている微生物は
酵母(yeast)・かび(mold)・細菌(bacteria)です。

一般的に使われているこれらの呼び方は俗名で、学名ではそれぞれの菌体を属(genus)と種(species)によって細かく分類・命名されています。

…では今日は酵母について説明しますね。

【 酵素を作り出す微生物-1:酵母 】

◆ 俗名:酵母
◆ 属名:Saccharomyces・Torulopsis・Zygosaccharomyces など

直径5〜10ミクロン(1ミクロンは1mmの1/1000)という小さな単細胞を持つ菌類の総称で、樹液や花蜜、果実など、自然界のあらゆるところに生息し、キノコやカビと同様に、外部の有機物を利用しながら育つ微生物です。
母細胞が出芽して娘細胞を作り、同じ大きさになったら分離、増殖します。

酵母には、人間にとって必要なタンパク質、ビタミンB群、葉酸、ビタミンD、アミノ酸、ミネラルなどの栄養素がたっぷり含まれていますが、ビールやパンを食べても、酵母の持つ栄養分を摂取できるわけではありません。

Saccharomyces cerevisiae Saccharomyces cerevisiae

 グルコース・フラクトース・ガラクトース・
 マンノース・シュクロース・マルトースを
 発酵するが、乳糖は発酵しない。
 形は球形or卵形。アルコール生成力が強い。
 ワイン・ビール・清酒・パンなど多くの食品
 で利用されている。

◆ 酵母によるアルコール発酵
酵母によるグルコースからのエチルアルコール生産
(糖質をアルコールと二酸化炭素にする)


酵母は食べ物に含まれる糖をアルコールと炭酸ガスに分解しながら、分裂、成長していきます。この作用を、パンや、お酒などを作る時によく利用しているのです。
パン種に含まれる糖質を酵母がアルコールと炭酸ガスに分解し、この時できた炭酸ガスでパンはふっくら膨らむのです。

◆ 酵母パワー
酵母には、栄養素が豊富なだけでなく、糖を分解したり、善玉菌をサポートしたり、βグルカンが免疫力を高めたり…と、素晴らしい力があります。

そして何よりも、酵素を作り出すことができるという大きな役割を持っています ニコニコ

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| Yukiyo | 細菌・微生物 | 19:32 | comments(2) | -
免疫Downしている人は要注意!リステリア菌

数日前のANNニュースで、アメリカでメロン食中毒が発生したと発表がありました。

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【 メロン食中毒で13人死亡 米・コロラド州 】

アメリカで、メロンによる食中毒が発生し、13人が死亡しました。

 CNNによりますと、コロラド州で生産されたメロンで、18の州で72件の食中毒が報告されています。このうち、13人の死亡が確認されました。原因は、メロンを感染源としたリステリア菌とみられています。日本の厚生労働省によると、今回、感染の原因となったアメリカの農場で栽培されたメロンは日本に輸入されていないということです。

-------------(ANNニュース 2011.9.28 18:11)---------


リステリア菌は、家畜、野生動物、魚類、河川、下水、飼料など、自然界の土壌や水の中に広く分布する細菌で、食品などを介して感染します。
海外ではチーズなどの乳製品や食肉加工品、野菜サラダによる集団食中毒が報告されています。

一般の人は免疫が備わっているので、発症することはまれですが、免疫が弱っている場合に発症します。老人、ガン患者、糖尿病患者、エイズ患者、ステロイド投薬者など免疫が非常に弱い場合は、重症になることがあります。
また、妊娠中の場合、免疫のない胎児に大きな影響を及ぼすことが確認されているので、特に注意が必要です。

潜伏期間は24時間から数週間と幅広く、感染初期には、発熱(38〜39℃)、頭痛、悪寒、嘔吐、倦怠感、筋肉痛、吐き気、下痢などインフルエンザに似た症状を呈します。重症化すると髄膜炎や敗血症を引き起こすこともあり、重症化した場合の死亡率が20〜30%と言われています。

リステリア菌はグラム陽性、鞭毛を持つ無芽胞の短桿菌(0.4〜0.5×0.5〜2.0μm)で、分類学的にはListeria属に入れられていて、この属には8菌種があります。これらの中でヒトおよび動物に病原性を示すのは、今のところL.monocytogenes1菌種で、一般のリステリア菌とリステリア症といわれるのは、この菌種とそれによる感染症を指しています。

リステリア菌は、 4℃以下の低温でも増殖可能。65℃、数分の加熱で死滅 しますので、生肉、未殺菌乳を原料とするナチュラルチーズなどはできるだけ避け、生野菜などは食べる前に充分洗浄をしましょう。また、冷蔵庫を過信しないことが大切です

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| Yukiyo | 細菌・微生物 | 10:00 | comments(3) | -


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