エンザイム(酵素)Lab.

ホリスティック栄養学&ホリスティックケアを中心とした健康コラム By Yukiyo
加水分解酵素

色々とバタバタしていて・・・久々のブログです。
久々に書くので、やっぱり「酵素(エンザイム)」について書くことにします。

10年位前と比較すると、「酵素」という言葉も一般的に使われるようになってきましたね。

酵素のことなんとな〜くわかっている人は多いと思いますが、「酵素を分類してみて下さい」と言われたら、どう説明しますか?
「消化酵素と代謝酵素と食物酵素」という答えが返ってきそうですね。

酵素の分類については、実は1年半位前に2回に分けて書きました。
触媒反応の形式による分類と、6系統の反応別分類です。

今日は、酵素を、触媒する化学反応に従って6つのグループに分類している、6系統の反応別分類のうち第3類の加水分解酵素(hydrolase)についてお話しますね。
ちょっと専門的な話になりますので、興味のない方はスルーして下さい。

「加水分解」とは、読んで字のごとく、水の分子によって分解されることです。水に食品を入れておくと柔らかくなるのは、水の分子によってタンパク質などが分解されるからです。
皆さんがよくご存知の、アミラーゼやリパーゼなど、消化器系で働く「消化酵素」は、加水分解酵素に属します。

この類に属する酵素は、生体内で行われている様々な加水分解を触媒て、さらに次の11の小グループに細分類されています。

《エステル結合に作用するエンザイム》

カルボン酸・リン酸・硫酸などのエステルを加水分解します。
リパーゼ・コリンエステラーゼなど。また、制限酵素なども、このグループに含まれます。

《グリコシル化合物に作用するエンザイム》
糖の還元性水酸基との間で作られたグリコシド結合を加水分解します。
α-及びβ-アミラーゼ・グリコシダーゼ・ヌクレオシダーゼなど。

《エーテル結合に作用するエンザイム》
チオエーテル結合に作用するものとエーテル結合に作用するものがあります。

《ペプチド結合に作用するエンザイム》
トリプシン・キモトリプシン・カルボキシペプチダーゼ・ロイシンアミノペプチダーゼなど、多くのタンパク分解酵素がこれに属します。

《ペプチド結合以外の炭素‐窒素結合に作用するエンザイム》
例:ウレアーゼ・アスパラギナーゼ・ペニシリナーゼ

《酸無水物に作用するエンザイム》

ATPアーゼをはじめとして、多くのピロリン酸結合を加水分解する酵素がこれに含まれます。

《炭素‐炭素結合に作用するエンザイム》
例:キヌレイナーゼ

《ハロゲン族元素との結合に作用するエンザイム》
例:ジイソプロピルフルオロフォスファターゼ

《リン‐窒素結合に作用するエンザイム》
例:フォスフォアミダーゼ

《硫黄‐窒素結合に作用するエンザイム》
例:スルホグルコサミンスルファミダーゼ

《炭素‐リン結合に作用するエンザイム》
例:フォスフォノアセトアルデヒドヒドロラーゼ


なぜこんなにたくさんの種類の加水分解酵素があるのかというと、以前触れた、基質特異性によるものです。

| Yukiyo | 酵素(エンザイム) | 21:02 | comments(0) | -
酵素の特異性

以前、『“鍵と鍵穴”のように、それぞれの酵素はそれぞれ一つの仕事しかできません』というお話をしました。
1894年にドイツのエミール・フィッシャーが表した、基質の形状と酵素のある部分の形状は鍵と鍵穴の関係にあり、形の似ていない物質は触媒されないという、鍵と鍵穴説によるものです。

今日はそのことについてもう少し詳しくお話しますね。

酵素は作用する物質を選択する能力を持っていて、その特性を基質特異性といいます。

酵素であるタンパク質の立体構造には様々な大きさや形のくぼみがあり、それはタンパク質の一次配列(アミノ酸の配列順序)に応じて決められているのです。

その様子を図にしてみました。



鍵穴はまさにタンパク質立体構造のくぼみ(クラフト)で、酵素は、くぼみに合った基質だけをくぼみの奥に存在する酵素の活性中心へ導くことで、酵素作用を発現します。基質は酵素によって、いくつか反応産物に分かれるけれど、酵素自身は変化しません。
また、タンパク質の立体構造は、PHや温度により変化するので、それぞれの酵素反応には、最適なPHや温度(至適PH・至適温度)が存在します。

基質の結合した酵素は、それが結合していない酵素よりもエントロピー(物質や熱の拡散の程度を表すパラメーター)が減少していると考えられていて、基質を結合させた酵素はあらゆるストレス(熱や pH の変化など)に対して安定です。


酵素のもう1つの機能上の特性として、反応特異性があります。
生体内ではある1つの基質に着目しても、作用する酵素が違えば生成物も変わってきます。
1つの化学反応しか触媒しない性質のことを言います。

酵素が反応特異性を持つために、1つの酵素は生体内の複雑な代謝経路の1か所のみを担当しています(消化酵素などいくつかの例外を除く)。

まず、ある代謝経路が存在するかどうかは、その代謝経路を担当する固有の酵素が存在するかどうかに左右されるので、その酵素タンパク質を産生する遺伝子の発現によって制御できます。
また、代謝生産物の1つが過剰になった場合、その代謝経路を担当する固有の酵素の活性にフィードバック阻害がおこるため、過剰な生産が動的に制御されるのです。

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| Yukiyo | 酵素(エンザイム) | 18:05 | comments(4) | -
キラーT細胞つくる酵素

数日前の、共同通信社の記事です。

キラーT細胞つくる酵素解明 感染症やがん治療法開発に -------

 ウイルス感染やがんから体を守る「キラーT細胞」の生成には、胸にある胸腺という臓器でつくり出される特有の酵素が欠かせないことを、徳島大や東京大などのグループがマウスを使った研究で突き止めた。

 胸腺が免疫細胞の一種「キラーT細胞」をつくることは知られていたが、病原を破壊できる有用なキラーT細胞が生成される詳しい仕組みは謎とされていた。

 徳島大の高浜洋介教授(免疫学)は「酵素を利用してキラーT細胞を回復したり強化したりできれば、感染症やがんの治療法開発につながる可能性がある」と話している。

 グループは胸腺皮質上皮細胞でタンパク質の断片をつくっている「胸腺プロテアソーム」という酵素に注目。この酵素をつくれないように遺伝子操作したマウスを正常なマウスと比べたところ、酵素を持たないマウスはキラーT細胞の生成量が約3分の1に減少した。

 マウスをインフルエンザウイルスに感染させた実験では、正常なマウスはすべて生き残ったが、胸腺プロテアソームを持たないマウスは約6割が死んだ。

 研究成果は、米科学誌イミュニティーに掲載された。

---------------2010.05.29 共同通信社-------------------------


「キラーT細胞って何?」といういう方のために説明をちょこっと…

簡単に言うと、リンパ球の一種で、癌細胞やウイルスに感染した細胞などを直接認識してこれを破壊する細胞傷害性T細胞で、細胞性免疫の主役です。
ちなみに、T細胞にはもう1つ、認識した細胞を活性化するヘルパーT細胞というのがあり、T細胞はこの2つに大別されます。

酵素を利用してキラーT細胞を回復したり強化したりできるようになったら、本当にすごいことです!そんな日が1日も早く来ますように…。

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| Yukiyo | 酵素(エンザイム) | 11:24 | comments(2) | -
ホタルと酵素

今日から6月・・・ホタル観賞の季節がやってきましたね。
九州・沖縄では5月から、山陰〜甲信越では6月初旬から、関東〜北海道では6月中旬頃から観賞できるようですね。
世界にはおよそ2,000種、日本では40種のホタルが生息していると言われていますが、日本で「ホタル」といえば、5月から6月にかけて発生するゲンジボタルを指すことが多いですね。ゲンジボタルの成虫が初夏に発生するため、日本ではホタルは夏の風物詩と言われているのでしょう。



ホタルといえば、お尻が光ることが特徴ですが、なぜ光るのでしょうか?
これは実は、ルシフェラーゼ (luciferase)という酵素の働きによるものなのです。
ルシフェラーゼ とは、発光バクテリアやホタルなどの生物発光において、発光物質が光を放つ化学反応を触媒する作用を持つ酵素の総称 で、発光酵素 とも呼ばれています。そして、ルシフェラーゼによって酸化されて発光する物質の総称をルシフェリン (luciferin) といい、発光素とも言われています。

ルシフェラーゼがルシフェリンを基質としたATP加水分解の酵素反応によって、可視光の中でも黄緑色の領域にある光の波長を化学エネルギーから得ることができます。黄緑色の光を得るためには、このタンパク質の立体構造が関係していて、酵素活性時に発光体(基質)を密に取り囲んでいるようです。タンパク質のアミノ酸一つだけ変異を与えて取り囲みを緩くすると、分子振動による発熱のロスが起こりエネルギーの低い赤い光しか得られない発光体になるようです。発光体の囲み具合で酵素反応が変わり、光る色も変わってくるのですね。
ホタルは生息場所によって、発光の明滅パターンが違うといわれています。個々に光っていたホタルが、やがてシンクロナイズして発光の同調がみとめられます。
ホタルの光はオスとメスが出会うための合図です。メスの弱い光に対してオスが強い光を放ち、プロポーズしているのだそうです。

ところで、歌唱「蛍の光」は4番まであるってご存知ですか?
3番と4番は、「遠く離れ離れになっても、それがたとえ辺境の地であろうとも、国のために心をひとつにして元気にそれぞれの役割を果たそう」というような内容で、戦後はこの右翼・日本中心的(軍国主義)ともとれる歌詞が敬遠され、歌われなくなったと言われているのだそうです。

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| Yukiyo | 酵素(エンザイム) | 21:50 | comments(5) | -
武器は酵素?

セリンプロテアーゼに関する記事がありましたので、ご紹介します。

黄色ブドウ球菌を自然排除 武器は酵素、耐性菌に効果-------

 人間の皮膚や鼻の中に普段からいる特定の「常在菌」が分泌する酵素によって、病原菌の一種「黄色ブドウ球菌」を覆う菌膜が破壊され、菌が排除されることを突き止めたと、慈恵医大の水之江義充教授と岩瀬忠行助教らが20日付英科学誌ネイチャーに発表した。
 この酵素は、抗生物質が効かない薬剤耐性菌にも効果があり、新たな治療法開発に役立つ可能性があるという。

 黄色ブドウ球菌は、健康な人でも約3割の人の鼻から検出される。研究チームは、鼻の中に多い常在菌の表皮ブドウ球菌に注目。この菌には、黄色ブドウ球菌の菌膜を壊すタイプと壊さないタイプがあり、壊すタイプは「Esp」という酵素(表皮ブドウ球菌が生み出すたんぱく質分解酵素「セリンプロテアーゼ」)を分泌し、これが菌膜を破壊、菌が排除されることを突き止めた。

 この酵素は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの耐性菌にも効果があり、1年間一緒に培養しても耐性はできなかった。
----------------------------------------------2010.5.20 共同通信社---


セリンプロテアーゼは、食品加工・生産、学術研究など様々な方面で利用されていて、これまで読んだ研究論文でよく出てきていたので、以前から関心を持っていました。

ご存知ない方が多いかと思いますので、簡単に説明しますね。

セリンプロテアーゼ(Serine Protease) は、ペプチド結合を加水分解する酵素で、触媒残基として求核攻撃を行うセリン残基を持ちます。
触媒残基としてセリン残基のほかに、ヒスチジン残基・アスパラギン酸残基の3残基を有しているのが一般的で、これら3つのアミノ酸は空間的にSer-His-Aspの順で水素結合を形成するよう配置しています。
この水素結合ネットワークにより、セリン残基側鎖の酸素原子の求核性が高められ、基質(切断されるタンパク質)ペプチドの主鎖にあるカルボニル基の炭素原子に求核攻撃を行います。
様々な種類のものが、栄養吸収、タンパク質の廃棄とリサイクル、生体防御、活性の調節などの幅広い分野で働いています。


表皮の角化過程においてセリンプロテアーゼが重要な役割を果たしていることは知られています。また、アトピー性皮膚炎の重症度が高いほどプラスミン活性が高く、またトリプシン活性は低くなることが確認され、アトピー性皮膚炎の表皮角層中セリンプロテアーゼの機能異常が病態形成に関与していることを見出したという研究記事を読んだことがあります。

セリンプロテアーゼは、防御のための重要な役割を持つと考えられますね。
現在、研究が進められ、色々発見されています。今後、セリンプロテアーゼが有する様々な機能が解明され、具体化していくことを期待します

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| Yukiyo | 酵素(エンザイム) | 12:08 | comments(2) | -


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